【緑単ループ】 [編集]
緑単、ないしは準緑単構築でチェイン・コンボからの無限ループを志向したコンボデッキの総称。《邪帝斧 ボアロアックス》主体の場合は【緑単サソリス】、《霊騎サンダール》主体の場合は【ラグマループ】、《獣軍隊 キンコング》主体の場合は【キンコングループ】、《グレート・グラスパー》主体の場合は【チェイングラスパーループ】と呼ばれることが多いため、実質的にそれら以外を指す。 2016年12月16日から2018年3月1日までの状況としては猿ループ、鎖風車ループと同義であった。 概要 [編集]自然は、マナ加速、クリーチャーサーチ、マナ回収、コスト軽減、マナ送りの手段を多数擁している。そのため、組み合わせ次第では構造的にcipループが成立しやすい下地は整っていた。 ところが、DMX-18リリース後から状況が一変する。《邪帝斧 ボアロアックス》の登場によりマナゾーンからのコスト踏み倒し手段が用意されたことで、ループ成立要件が一気に易化した。 DMR-23では、《ベイB ジャック》が登場。バトルゾーンのクリーチャーが次々にマナリソースに変換され、cipの連鎖に拍車がかかる。 これらの影響もあり、新たな自然のカードがリリースされる度に「そのカードはループに使えるのか」「過去のカードとのシナジーはどうか」と考えるプレイヤー人口が相対的に増加した。 地雷だった過去からトップメタに駆け上がり、多くのカードを殿堂入りに追い込んだ。 比較的低予算で組める一方でプレイング難易度が高いことで有名。 使用カード [編集]主要パーツ [編集]採用圏内 [編集]
ドラグハート [編集]
フィニッシャー [編集]
【緑単ループ】の変遷 [編集]くすぶるラグマループ
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ループ方法 |
《ゴエモンキー》のおかげでキルターンが早くなった【緑単ループ】だったが、《ベイB ジャック》の登場はこの流れを加速させた。《サンマッド》が手札、マナゾーン、バトルゾーンを駆けずり回るこのデッキにおいて、バトルゾーンをマナリソースに使えるということは、実質的に無限のマナを得たことに等しい。《ベイB ジャック》自身もシステムクリーチャーとしては破格な性能を有しており、登場から日本一決定戦直前までのチャンピオンシップを一気に荒らした。
チャンピオンシップによって環境の変化をいち早く察知した公式は、大型大会で結果を出す前に《ゴエモンキー》の殿堂入りを決定。しかし、それに呼応するかのように新たな代替カードが発掘される。
それが《大勇者「鎖風車」》である。任意コスト軽減によって実質的に回収できる枚数を調整できる上に、仮にマナゾーンが空になってしまっても《ベイB ジャック》でバトルゾーンをリソースにしてしまえば問題がなくなってしまう。なお、《大勇者「鎖風車」》を中心に据える場合はマナ武装が途中で使えなくなる可能性を考慮して《雪精 ジャーベル》が全抜きされているケースも目立った。マナは《青銅の鎧》で増やし、サーチは《トレジャー・マップ》と《未来設計図》に託すのである。《桜風妖精ステップル》がまだ登場していなかった頃、最速キルターンが変わらないということで《霞み妖精ジャスミン》をカットし、サーチ呪文で準備をしてから唱え終わって墓地に落ちた呪文を《天真妖精オチャッピィ》でリソースに変えるという構築も見られた。
新たな相棒が追加されたことでより動きが多様化し、選択肢が増えたことで玄人好みの毛色が強まったが、勝率の高いデッキとして一気にトップメタに上り詰める。回収の物量が増えたので、《トンギヌスの槍》ループも、処理に時間こそ掛かるが、この頃には成立しやすくなっていった。
その後、《桜風妖精ステップル》の獲得を経て、【緑単ループ】の中でも最速ループに特化した《フィーバー・ナッツ》型と、《原始 サンナップ》や《獣軍隊 ヤドック》を入れ【モルトNEXT】に対してビートダウンプランを取れるようにした型が人気を二分した。
「DMGP-4th」では【自然系ループ】括りで予選突破者使用率2位を記録。また、《フィーバー・ナッツ》型が3位入賞に輝いた。同レシピは《ベイB ジャック》をはじめほとんどのカードが1〜3枚積みであり、《フィーバー・ナッツ》はサーチと《ステップル》以外で唯一4枚積みのカードだった。
一方で、《「鎖風車」》型はベスト8に残れなかった。
《「鎖風車」》型は【スクランブルモルトNEXT】の爆発力にも対応できる型だが、そちらは非常に事故を呼びやすいデッキであったため、事故時の【モルトNEXT】や他のコントロールやループデッキに対してまんべんなく取りやすい《ナッツ》型のほうが立場が良かったためだと考えられる。
以後、《「鎖風車」》型は《獣軍隊 ヤドック》のおかげでデッキに占めるゲリラ・コマンド率がそれなりに高くなったので、フィニッシャーとして《大神砕グレイトフル・ライフ》を採用し、【ヴォルグ・サンダーライブラリアウト】でフィニッシュを簡便化して時間切れ対策を施すようになる。
《スクランブル・チェンジ》を4枚投入出来る【モルトNEXT】との2強環境を生み出し、両者はCSにおいては他を寄せ付けない入賞率を誇った。共に圧倒的なデッキパワーを持つだけでなく、【モルトNEXT】を受け切るには相応の受け札が必要だが【緑単ループ】には刺さらず【緑単ループ】を処理するための軽量除去を積むと【モルトNEXT】に刺さらないという補完関係が、二強環境をより強固なものにした。因みに両デッキの使用者数は【モルトNEXT】の方に分があったが、入賞数はほぼ同数で、そういう意味では【緑単ループ】の方が強かった。
「DMGP-4th」のベスト128の使用デッキのうちこの2デッキが約半数を占めており、ベスト4の【モルトNEXT】2・【ジョーカーズ】1・【緑単ループ】1という内訳は当時の歪なメタゲームを如実に示していた。
以上の結果を受け、「超CS in 熊本」に向けて主要3パーツが殿堂入りに。長らく使われてきた2枚以上の《サンマッド》を利用するという手段が使えなくなる。3軽減から《アラゴト・ムスビ》を2体交互に出すという手段も使えない。
【緑単ループ】の定石が使えなくなったことで、【ラグマループ】や【緑単サソリス】に回帰する動きも一部には見られる。とはいえ、【ラグマループ】らも《ベイB ジャック》という新戦力は手に入れたが、同時に2枚目以降の《アラゴト・ムスビ》を失っている。
「超CS in 熊本」では制限を受けながらも準優勝を果たす。レシピは《ララバイ》フィニッシュで【緑単サソリス】に回帰しつつも、ワイルド・ベジーズの展開力を付与することで失われた動きを補うというものだった。銀の弾丸は15枚にも及び、極めて玄人向けの仕様と言える。そのプレイヤーの話によると、その大会では【速攻】が極端に少なかったといい、それも活躍の要因と言える。
あまりにも制限パーツが増えすぎたため、盾落ちケアは一撃で回収し切れる《逆転のオーロラ》に一任されるようになる。
《ララバイ》フィニッシュの手順は以下の通り。この手順を説明できなければ省略は認められないので慣れておこう。
2017年10月3日現在の殿堂レギュレーションで可能 |
《大きくて小さな農園》や《パンプパンプ・パンツァー》、《大宇宙シンラ》等を使った無限ループ機構もこの頃考案されたが、多数派を占めるには至っていない。
《大勇者「鎖風車」》と《ベジタバッタ・パンツァー》が必要な《ララバイ》フィニッシュは煩雑極まりないため、最もフィニッシュが簡潔な《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》が最大規模となった。《ゴエモンキー》でマナ召喚してしまえば色は関係ないためである。また、時間制限による制約に強いというのもあった。しかし、流石にデッキパワーの低下は否めず、より簡単な【チェイングラスパーループ】の台頭や、【シノビドルゲーザ】のコンボデッキ化に伴い、ループの選択肢が充実したため、従来の【緑単ループ】を操るプレイヤーの数は相対的に減少傾向にあった。
《水上第九院 シャコガイル》の登場は、この流れに待ったをかけた。無限ブーストで自滅するだけならいくらでも簡単にできるこのデッキにおいて、《シャコガイル》は願ったり叶ったりの存在だったのだ。《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》では対応しきれない《光器パーフェクト・マドンナ》の存在や《伝説のレジェンド ドギラゴン》等の敗北回避能力も、プレイング次第で無視できることから、《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》と総入れ替えされた。これまで中継ぎ以上の役割がなかった《龍魂要塞 ブルニカ》だが、《シャコガイル》のおかげで評価が見直されることになる。《シャコガイル》のドローがヒントになったのか、【緑単ループ】に《ハッスル・キャッスル》を入れるという発想が生まれたのもこの頃である。
この2パターンの勝ちを自由に選択できるので、《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》を《水上第九院 シャコガイル》にしない理由は値段の面以外では存在しない。《シャコガイル》によってある意味「雑な」勝ち方が可能になった【緑単ループ】は、勝利条件が易化したこともあり、広く普及していくことになる。
この頃は【モルトNEXT】や【ジョーカーズ】に対して有利な【ロージアミラダンテ】がトップメタにおり、そちらに明確に有利であったことも追い風であった。
実際のところ、デュエル・マスターズグランプリ-5thでは《シャコガイル》をフィニッシャーにした【緑単ループ】がベスト8に輝いている。「超CS in 熊本」で実績を残したデッキのレシピに倣ったのか、こちらもピン挿し11枚となっている。ベスト16のデッキに至っては、《ハッスル・キャッスル》か《雷鳴の守護者ミスト・リエス》を最速3ターン目に用意して以降は《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》や《黙示賢者ソルハバキ》を連打して、【白緑メタリカ】から出張させたパーツを活かしてそのデッキと同じ要領で勝つデッキであり、《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》以降の行程が【白緑メタリカ】に類似したムーブと総入れ替えになっていた。
《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》の登場後、そちらをフィニッシャーにした型も成立した(いわゆる【白緑ユニバース】)が、予めアンタップクリーチャーを10体用意する手間がネックとなり、少数派にとどまっていた。《攻守の天秤》でアンタップクリーチャーを生成する手もあったが、そこまで光のカードを使うならそもそも【白緑メタリカ】を使う方が合理的であった。
手札さえよければ《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》を龍解させた後は《口寄の化身》と《フィーバー・ナッツ》を連打して、途中で適当に《原始 サンナップ》でアンタップマナを生成し、《シャコガイル》を出してからさらに《口寄の化身》を出せばループしなくても勝てるなど、プレイング難易度の高さというデメリットすら完全に払拭された【緑単ループ】であったが、DMBD-04での《奇石マクーロ》《絶対の畏れ 防鎧》を獲得した【白緑メタリカ】はこちらより使用難度が低く、相手への干渉手段や防御力でも長けていたため、《ベイB》系デッキの主流となっていた。
2018年3月1日付でデッキの根幹である《ベイB ジャック》がプレミアム殿堂に指定される。
《ベイB ジャック》の禁止化により早期の《アラゴト・ムスビ》による無限マナブーストが不可能になり、《シャコガイル》型は大きな被害を受けた。脱《ボアロアックス》型に限って言えば実戦用のデッキとしては消滅し、元の嗜み用のデッキという立ち位置に戻ったと言っても過言ではない。
それ以降、《アラゴト・ムスビ》を利用した無限マナ加速にはクリーチャー召喚コスト3軽減と《邪帝遺跡 ボアロパゴス》が必要になったため、環境の速度に適応したループは困難になったと言える。
緑単ループというギミック自体が下火になり環境からは完全に遠ざかっていたが、《生命と大地と轟破の決断》獲得後は一気に転機が訪れる。最新のGR召喚ギミックを盛り込んだデッキが「DMGP-9th」ベスト16の実績を残した。とはいえ、《BAKUOOON・ミッツァイル》が採用されていることを筆頭に全体的なギミックは従来の緑単ループとはだいぶ異なるものとなっている。当wikiでも【ネイチャーループ】として区別している。
《ベイB ジャック》が登場した当初は殿堂ゼロデュエルでもそこそこ活躍していたが、《“轟轟轟”ブランド》が登場したあたりから《ベイB ジャック》が《“轟轟轟”ブランド》に焼かれる面が目立って環境から脱落した。さらに【転生サイクリカ】(殿堂ゼロデュエル)が成立した頃になると、2、3枚のパーツが引けたら安定して3ターンキルができる主流デッキと異なりパーツ要求値が高すぎる点が目立つように。さらにGR召喚の登場によって安全に勝ちに行けるデッキのキルターンの基準値が3ターンとなった。4ターンで安全に勝てるのでは速度的に不十分であり、環境内で低速側に立ってしまうと相手への干渉手段に乏しい点は致命的になる。